ドクターマーチンサンダルのサイズ感をゆるっと考えてみた話

夏が近づいてくると、街の足元が一気に軽くなる感じがして、つい人の靴ばかり見てしまう。そんな中でやたら目につくのが、ボリュームのあるストラップと分厚いソールが印象的なドクターマーチンサンダル。ブーツのイメージが強いブランドだけど、SNSやショップのディスプレイを眺めていると、サンダルの存在感もなかなかすごい。ところが実際にサイズを調べ始めると、「大きめ」「小さめ」「ジャスト」と真逆の情報が一気に飛び込んできて、どれを信じればいいのか分からなくなる。そこで、自分なりにあちこちの口コミやサイズ表を眺めつつ、ドクターマーチンサンダルのサイズ感についてラフに整理してみることにした。

まず大前提として、ドクターマーチンサンダルはUKサイズ表記で、しかもハーフサイズが無いというのがややこしさの元。23.5cmみたいな“日本人あるある”なサイズだと、上のサイズに行くか下げるかで毎回悩まされる。しかもモデルごとに木型やソールが違うので、単純に「このセンチならこのUKサイズ」とは言い切れない。調べていると、同じ23.5cmの人でも、あるモデルでは小さい方、別のモデルでは大きい方を選んでしっくりきているケースが普通にある。

そんなカオスな状況の中でも、「これはちょっと大きめに感じる」という意見が多いのが、代表的な厚底ストラップサンダルたち。例えば、ストラップが多くてボリューミーなドクターマーチンブレアや、そのごつさ全振りバージョンという雰囲気のドクターマーチンブレアクアッド。口コミを眺めていると、「普段24cmだけどドクターマーチンブレアは23cm相当でちょうど良かった」「ドクターマーチンブレアクアッドはサイズ通りだとフットベッドが長すぎた」みたいな声が結構多くて、全体としては“気持ち小さめ寄りで選ぶ派”が優勢な印象がある。

同じく厚底路線で目立っているドクターマーチンクラリッサ II クアッドも、どうやらゆったりした作りらしい。特に長さに余裕が出やすいようで、「甲や幅はいいけど、つま先側にスペースが余りすぎる」というレビューがちらほら見つかる。厚底ソールで存在感がある分、サイズが大きすぎると“サンダルに履かれている感”が強調されてしまうので、このモデルもワンサイズ下を検討している人が多いように見えた。

一方で、ストラップでしっかり調整できるおかげか、そこまで極端なサイズダウンの話になりにくいのがドクターマーチンボスとドクターマーチンボス II。甲と足首のベルトで締め具合をかなり変えられるので、長さはいつものシューズサイズに合わせて、あとはベルトで微調整していく感じの使われ方をしているようだ。とはいえ、足幅が細めの人だと「一番締めてもまだ余裕がある」という声もあって、ドクターマーチンボス系は“縦は普通、横は少しゆったり”くらいのイメージで見ておくとしっくり来る。幅広・甲高ならむしろありがたいくらいの余裕かもしれない。

クラシックな雰囲気が強いストラップサンダルの代表がドクターマーチングリフォン。写真を見ていると、足首のストラップがきゅっとしまっていて、足元がすっきり見えるタイプ。その分、前側のストラップはわりとぴったりめに収まっていて、口コミをざっと見る限りだと「長さジャスト」「幅は少しタイト」という感想が多い。ドクターマーチングリフォンは革がしっかりめに見えるので、頻繁に履いてしっかり馴染ませたい人なら少し攻めたサイズを選びたくなるモデル、逆に“休日にたまに履くくらい”の距離感なら普段サイズ寄りでゆとりを残したくなるモデル、という雰囲気がある。

ソールが少しスポーティーで、ストラップも太くてラクそうな雰囲気のドクターマーチンマイルスは、サイズの選び方が人によってかなり分かれている印象。普段23.5cmの人が24cm相当を選んでちょうど良かったという話もあれば、22.5cmの人が22cm相当のサイズで満足していたり、25.5cmの人が26cm相当を選んで“ややゆとりありで快適”と言っていたりと、とにかくバリエーションが豊富。おそらく、ドクターマーチンマイルスはストラップの調整幅が広い分、素足メインなのかソックス合わせもしたいのか、きっちり固定したいのかルーズに履きたいのかで、正解サイズが変わりやすいタイプなんだろうなという印象を受ける。

ここまでいろいろ眺めてみると、ドクターマーチンサンダル全体のざっくりした傾向が少し見えてくる。厚底でフットベッドが大きく作られている系、つまりドクターマーチンブレアやドクターマーチンブレアクアッド、ドクターマーチンクラリッサ II クアッドあたりは、長さが出やすくて“ワンサイズ下げるかどうか問題”が出てきやすい。一方でドクターマーチンボスやドクターマーチンボス II、ドクターマーチンマイルスのようにストラップでガンガン調整できるモデルは、縦の長さは普段サイズをベースにして、幅やホールド感はベルトで微調整、というスタイルがはまりやすい。

性能というか、実際の履き心地をイメージしながらサイズ感を考えると、「素足で履くか、ソックスを合わせるか」が思ったより重要なポイントになってくる。ドクターマーチンブレアやドクターマーチンクラリッサ II クアッドのようなボリュームサンダルを素足で履くなら、ストラップの革が馴染んでくることも考えて、あえてタイトめに攻める人が多そうだし、ドクターマーチンマイルスやドクターマーチンボス IIをソックス合わせでガシガシ履きたいなら、縦は普段通り、横はストラップで調整というバランスが現実的に感じる。

結局のところ、ドクターマーチンサンダルは「全体的に少し大きめに感じる人が多いブランドだけれど、モデルごとの個性が強い」ので、自分の足のタイプと履き方のイメージをセットで考えるのが近道っぽい。普段スニーカーがぴったりサイズで、足幅は細め〜普通くらいなら、厚底系のドクターマーチンブレアクアッドやドクターマーチンクラリッサ II クアッドは一つ下のサイズも視野に入れたくなるし、幅広・甲高でゆったり履きたいならドクターマーチンボスやドクターマーチンマイルスのようなストラップ調整系が安心感あり、という感じ。

そんなわけで、自分の足のクセと、夏にどんなスタイルで過ごしたいかを妄想しながら、気になるモデルの口コミをもう一段深掘りしていくと、ドクターマーチンサンダルのサイズ選びはだいぶ現実的になってくる。最終的にどのモデルを選ぶにしても、「大きすぎると格好良さが半減するし、小さすぎると痛くて履かなくなる」という当たり前のバランスを、ドクターマーチンブレアやドクターマーチングリフォン、ドクターマーチンマイルスたちとどう折り合いをつけるか、というゲームをしているような感覚に近いのかもしれない。

ドクターマーチンサンダルのサイズ感をゆるっと考えてみた話