筋トレ 80歳からでも間に合う安全ゆるトレ生活記

80歳になったうちの父が「まだ自分の足で歩いていたい」と言い出したのが、ゆるい筋トレ生活を始めたきっかけです。プロのトレーナーでもなんでもない、ただの運動好きな子どもとして、家の中でできることをあれこれ試してきました。ここでは、そのとき実際に使ってみて「これは高齢の親でも扱いやすかったな」と感じた道具や、無理なく続ける工夫を、完全に主観で書いてみます。

最初に買ったのが、重すぎない軽量ダンベル 1〜2kgです。若い人向けの動画だと3kg以上を勧めていたりしますが、80歳にはさすがに重くて、最初は1kgを片手に持つだけでも「おお、効いてる」という感じでした。立ったままダンベルを持ち上げるのが不安な日は、椅子に座ったまま肘を膝の上に置いて、ゆっくり曲げ伸ばし。たったこれだけでも、数週間続けたら「ペットボトルのふたが開けやすくなった」と本人が言っていました。

次に取り入れたのが、ゴムの弾力を使うトレーニングチューブ(エクササイズバンド)です。これは本当に便利で、椅子に座ったままでも、背中や肩、腕、太ももまで色々なところを鍛えられます。父は肩こりもひどかったので、チューブを両手で持って胸の前で引っ張る動きを、テレビを見ながら10回ずつ。慣れてきたら回数を増やすだけで負荷を調整できるので、「今日は調子がいい」「今日はちょっとしんどい」という日によって加減しやすいのが助かりました。

「足が細くなってきて心配だ」という話から導入したのがアンクルウェイト 0.5〜1kgです。足首に巻いて、家の中をゆっくり歩くだけ。最初は0.5kgからにして、慣れたら1kgに。階段の上り下りや、台所で立ち仕事をしているときに付けておくだけで、あとから「今日はちょっと足がだるいな」と感じるくらいには効きました。転倒が怖いので、床が滑りやすい場所では必ず外す、というルールも一緒に決めておきました。

バランス感覚が不安な高齢者にはバランスディスク(体幹トレーニング用)もよかったです。ただし、これはいきなり立って乗るのではなく、最初は椅子に腰かけて足元に置き、片足ずつ乗せるところから。グラグラする感覚に慣れてきたら、机や手すりにつかまりながら両足でそっと立ってみる。体幹が弱っていると最初はすぐ疲れますが、続けていると「つかまり立ちで靴下が履きやすくなった」と父が喜んでいました。

下半身の筋トレと軽い有酸素運動を兼ねて導入したのがステップ台(踏み台昇降用)です。高さを低めに調整できるものにして、手すりの横やテーブルのそばに置き、必ず「つかまれる場所」を確保してから始めました。音楽をかけながら、1曲分だけ上り下り。これを週に数回続けていたら、外出したときの階段も前より楽そうに見えました。

床での体操をするときは、膝や腰に負担をかけないためにもエクササイズマット(ヨガマット)があるとかなり違います。畳の上でも、マットがあると滑りにくくなり、寝転んだ状態からの腹筋もどき(完全な腹筋ではなく、ちょっと頭と肩を浮かせる程度)や、膝を立てて腰を少し持ち上げるブリッジ動作などがやりやすくなりました。高齢者の場合、動きよりもまず「痛くない姿勢を取れるか」が大事だと感じました。

外に出るのが好きな人には、本格的な有酸素運動の前に、歩きやすい靴が必須です。父にはつまずきにくい靴底とマジックテープ式のウォーキングシューズ 高齢者向けを選びました。これに履き替えたら、本当に転びにくくなりました。普通の革靴のときは段差でよくつまずいていたのに、「これにしてから怖くなくなった」と本人も嬉しそうです。

膝痛のある人には、負担を減らすために膝サポーター(関節保護用)も頼りになります。締め付けすぎるタイプだと逆に疲れてしまうので、80歳には柔らかめで着脱が簡単なものを選びました。筋トレをしているときだけでなく、買い物に出かけるときも着けておくと安心感が違います。心理的な「守られている感じ」も大事なのか、サポーターを着けている日は歩き方が堂々として見えました。

有酸素運動を家の中で済ませたい人には、座ったまま使えるフィットネスバイク(静音・省スペース)が一台あると便利です。うちではテレビの前に置いて、ニュース番組を見ながら10分こいだら休憩、を1日2〜3セット。天気に関係なく続けられるのがありがたくて、雨の日や真夏・真冬はほとんどこれに頼っていました。静音タイプなら、集合住宅でも時間をあまり気にせず使えます。

運動のやり方が分からない、というときに役立ったのが高齢者向け体操DVD・動画教材です。最近はYouTubeでも高齢者向けの体操動画がたくさんありますが、インターネットが苦手な世代には、テレビに再生機器をつないでDVDを流してしまう方が楽でした。一緒に画面を見ながら真似して動いていると、自然と笑いが出てきて、いいコミュニケーションの時間にもなります。

こうやって書き出してみると、道具ばかり増えてしまったようにも見えますが、実際には全部を一度に使うわけではありません。筋トレを全くやってこなかった80歳が急に頑張ると、ほぼ確実にどこかを痛めるので、その日の体調に合わせて「今日は椅子に座って上半身だけ」「今日は足を中心に」と、ゆるく選んでいます。

例えば、ある一日の流れはこんな感じです。

朝、起きてから椅子に座ってチューブ体操を10回ずつ。肩回りが温まったら、立ち上がってダイニングチェアを支えにしながら、ゆっくりのスクワットを5回。昼食後に少し休んでから、ステップ台で3分ほど踏み台昇降。夜はテレビを見ながらダンベルを片手10回ずつ。全部合わせても、トータルの運動時間は30分もない程度ですが、それでもやらない頃より明らかに脚力が落ちにくくなったと感じます。

もちろん、すべての高齢者にこのやり方が合うわけではありません。心臓や血圧、関節の病気がある場合は、必ず主治医に相談してから始めた方が安全です。うちの父も、最初に内科と整形外科で「これくらいの運動なら大丈夫か」を確認してからスタートしました。「息切れが強くなったらすぐやめる」「胸が苦しくなったら中止」「痛みが3日以上続いたら病院に相談」という目安も、一緒に決めました。

個人的に大事だと思うのは、「筋トレをやるぞ」と気合を入れすぎないことです。80歳にとっては、部屋の片付けや買い物、料理だって立派な運動です。その中にちょっとだけダンベルやチューブ、踏み台を混ぜ込んで、「日常の動きがちょっと重くなっただけ」と感じてもらえるくらいが、挫折しにくいラインかなと感じます。

道具選びでもう一つポイントだなと思ったのは、「片付けやすさ」です。せっかく良い器具を買っても、出し入れが面倒だと使わなくなります。うちでは、ダンベルとチューブ、アンクルウェイトは全部ひとつのカゴにまとめてテレビ横に置き、ステップ台はテーブルの下に差し込んでいます。マットは丸めてソファの後ろに立てかけておく。視界に入る場所に置いておくと、「あ、ちょっとだけやろうかな」という気持ちになりやすいようです。

最後に、80歳の筋トレを見守ってきた家族として強く感じるのは、「完璧を目指さなくていい」ということです。若い頃のように大きな筋肉をつける必要はありません。転ばないこと、トイレやお風呂に自分で行けること、好きな場所に自分の足で出かけられること。そのために、ほんの少し筋肉をキープできれば十分だと思います。今日1回だけでも椅子から立ち上がる動きを意識して行えたら、それはもう立派な進歩。ゆるく長く続けることが、結局いちばんの近道だと、父の様子を見ていて感じています。

筋トレ 80歳からでも間に合う安全ゆるトレ生活記

80歳になったうちの父が「まだ自分の足で歩いていたい」と言い出したのが、ゆるい筋トレ生活を始めたきっかけです。プロのトレーナーでもなんでもない、ただの運動好きな子どもとして、家の中でできることをあれこれ試してきました。ここでは、そのとき実際に使ってみて「これは高齢の親でも扱いやすかったな」と感じた道具や、無理なく続ける工夫を、完全に主観で書いてみます。

最初に買ったのが、重すぎない軽量ダンベル 1〜2kgです。若い人向けの動画だと3kg以上を勧めていたりしますが、80歳にはさすがに重くて、最初は1kgを片手に持つだけでも「おお、効いてる」という感じでした。立ったままダンベルを持ち上げるのが不安な日は、椅子に座ったまま肘を膝の上に置いて、ゆっくり曲げ伸ばし。たったこれだけでも、数週間続けたら「ペットボトルのふたが開けやすくなった」と本人が言っていました。

次に取り入れたのが、ゴムの弾力を使うトレーニングチューブ(エクササイズバンド)です。これは本当に便利で、椅子に座ったままでも、背中や肩、腕、太ももまで色々なところを鍛えられます。父は肩こりもひどかったので、チューブを両手で持って胸の前で引っ張る動きを、テレビを見ながら10回ずつ。慣れてきたら回数を増やすだけで負荷を調整できるので、「今日は調子がいい」「今日はちょっとしんどい」という日によって加減しやすいのが助かりました。

「足が細くなってきて心配だ」という話から導入したのがアンクルウェイト 0.5〜1kgです。足首に巻いて、家の中をゆっくり歩くだけ。最初は0.5kgからにして、慣れたら1kgに。階段の上り下りや、台所で立ち仕事をしているときに付けておくだけで、あとから「今日はちょっと足がだるいな」と感じるくらいには効きました。転倒が怖いので、床が滑りやすい場所では必ず外す、というルールも一緒に決めておきました。

バランス感覚が不安な高齢者にはバランスディスク(体幹トレーニング用)もよかったです。ただし、これはいきなり立って乗るのではなく、最初は椅子に腰かけて足元に置き、片足ずつ乗せるところから。グラグラする感覚に慣れてきたら、机や手すりにつかまりながら両足でそっと立ってみる。体幹が弱っていると最初はすぐ疲れますが、続けていると「つかまり立ちで靴下が履きやすくなった」と父が喜んでいました。

下半身の筋トレと軽い有酸素運動を兼ねて導入したのがステップ台(踏み台昇降用)です。高さを低めに調整できるものにして、手すりの横やテーブルのそばに置き、必ず「つかまれる場所」を確保してから始めました。音楽をかけながら、1曲分だけ上り下り。これを週に数回続けていたら、外出したときの階段も前より楽そうに見えました。

床での体操をするときは、膝や腰に負担をかけないためにもエクササイズマット(ヨガマット)があるとかなり違います。畳の上でも、マットがあると滑りにくくなり、寝転んだ状態からの腹筋もどき(完全な腹筋ではなく、ちょっと頭と肩を浮かせる程度)や、膝を立てて腰を少し持ち上げるブリッジ動作などがやりやすくなりました。高齢者の場合、動きよりもまず「痛くない姿勢を取れるか」が大事だと感じました。

外に出るのが好きな人には、本格的な有酸素運動の前に、歩きやすい靴が必須です。父にはつまずきにくい靴底とマジックテープ式のウォーキングシューズ 高齢者向けを選びました。これに履き替えたら、本当に転びにくくなりました。普通の革靴のときは段差でよくつまずいていたのに、「これにしてから怖くなくなった」と本人も嬉しそうです。

膝痛のある人には、負担を減らすために膝サポーター(関節保護用)も頼りになります。締め付けすぎるタイプだと逆に疲れてしまうので、80歳には柔らかめで着脱が簡単なものを選びました。筋トレをしているときだけでなく、買い物に出かけるときも着けておくと安心感が違います。心理的な「守られている感じ」も大事なのか、サポーターを着けている日は歩き方が堂々として見えました。

有酸素運動を家の中で済ませたい人には、座ったまま使えるフィットネスバイク(静音・省スペース)が一台あると便利です。うちではテレビの前に置いて、ニュース番組を見ながら10分こいだら休憩、を1日2〜3セット。天気に関係なく続けられるのがありがたくて、雨の日や真夏・真冬はほとんどこれに頼っていました。静音タイプなら、集合住宅でも時間をあまり気にせず使えます。

運動のやり方が分からない、というときに役立ったのが高齢者向け体操DVD・動画教材です。最近はYouTubeでも高齢者向けの体操動画がたくさんありますが、インターネットが苦手な世代には、テレビに再生機器をつないでDVDを流してしまう方が楽でした。一緒に画面を見ながら真似して動いていると、自然と笑いが出てきて、いいコミュニケーションの時間にもなります。

こうやって書き出してみると、道具ばかり増えてしまったようにも見えますが、実際には全部を一度に使うわけではありません。筋トレを全くやってこなかった80歳が急に頑張ると、ほぼ確実にどこかを痛めるので、その日の体調に合わせて「今日は椅子に座って上半身だけ」「今日は足を中心に」と、ゆるく選んでいます。

例えば、ある一日の流れはこんな感じです。

朝、起きてから椅子に座ってチューブ体操を10回ずつ。肩回りが温まったら、立ち上がってダイニングチェアを支えにしながら、ゆっくりのスクワットを5回。昼食後に少し休んでから、ステップ台で3分ほど踏み台昇降。夜はテレビを見ながらダンベルを片手10回ずつ。全部合わせても、トータルの運動時間は30分もない程度ですが、それでもやらない頃より明らかに脚力が落ちにくくなったと感じます。

もちろん、すべての高齢者にこのやり方が合うわけではありません。心臓や血圧、関節の病気がある場合は、必ず主治医に相談してから始めた方が安全です。うちの父も、最初に内科と整形外科で「これくらいの運動なら大丈夫か」を確認してからスタートしました。「息切れが強くなったらすぐやめる」「胸が苦しくなったら中止」「痛みが3日以上続いたら病院に相談」という目安も、一緒に決めました。

個人的に大事だと思うのは、「筋トレをやるぞ」と気合を入れすぎないことです。80歳にとっては、部屋の片付けや買い物、料理だって立派な運動です。その中にちょっとだけダンベルやチューブ、踏み台を混ぜ込んで、「日常の動きがちょっと重くなっただけ」と感じてもらえるくらいが、挫折しにくいラインかなと感じます。

道具選びでもう一つポイントだなと思ったのは、「片付けやすさ」です。せっかく良い器具を買っても、出し入れが面倒だと使わなくなります。うちでは、ダンベルとチューブ、アンクルウェイトは全部ひとつのカゴにまとめてテレビ横に置き、ステップ台はテーブルの下に差し込んでいます。マットは丸めてソファの後ろに立てかけておく。視界に入る場所に置いておくと、「あ、ちょっとだけやろうかな」という気持ちになりやすいようです。

最後に、80歳の筋トレを見守ってきた家族として強く感じるのは、「完璧を目指さなくていい」ということです。若い頃のように大きな筋肉をつける必要はありません。転ばないこと、トイレやお風呂に自分で行けること、好きな場所に自分の足で出かけられること。そのために、ほんの少し筋肉をキープできれば十分だと思います。今日1回だけでも椅子から立ち上がる動きを意識して行えたら、それはもう立派な進歩。ゆるく長く続けることが、結局いちばんの近道だと、父の様子を見ていて感じています。

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