靴サイズ感とは？ネット時代にちょうどいい一足を探すゆるい話

靴を買うとき、サイズは合っているはずなのに「なんかしっくりこない…」ということがよくあります。とくにネットでスニーカーやランニングシューズ、パンプスを探していると、レビューに「大きめ」「小さめ」「ぴったり」といろいろ書かれていて、結局どれが正解なのかわからなくなってきます。数字としてのサイズは同じでも、履いたときの感覚＝サイズ感はかなり違うので、迷うのは当たり前という感じもします。

事情：同じサイズなのにバラバラな「靴のサイズ感」

まず、そもそも靴のサイズは足の長さをセンチで表しているだけで、足幅や甲の高さ、かかとのホールド感までは表してくれません。しかも、ブランドやモデルごとに木型が違うので、同じ26.0cmでも、スニーカーと革靴では別物みたいな履き心地になることがあります。

クッション多めのウォーキングシューズやコンフォートサンダルは、少しゆったりしている方がラクに感じやすい一方で、ビジネスシューズやローファーは、かかとがパカパカしないようにタイト目に作られていることも多いです。

さらに、ブーツやレインブーツは厚手の靴下を前提にしていたり、登山靴は下り坂で足が前にずれないような作りになっていたりして、メーカーの「こう履いてほしい」がサイズ感にかなり反映されています。数字だけ見て選ぶと、目安と実際の感覚のズレが出てしまうのは、こういう背景があるからという感じがします。

感想：多くの人が「大きめ」か「ゆるめ」に逃げがち

実際、周りを見ていると、きついのが怖くて大きめサイズを選ぶ人がかなり多いように感じます。足が痛くなるのは嫌だし、脱ぎ履きが楽なのは正義なので、スニーカーもランニングシューズも、つい「0.5cm大きめ」を選びたくなります。

ただ、大きめを選びすぎると、靴の中で足が前後にずれて、指が当たったり、かかとが擦れたりして、逆に疲れやすくなってしまいます。柔らかいスリッポンやローファーだと、「なんとなく脱げそう」「歩くとパカパカする」みたいな、ちょっと残念なサイズ感になりがちです。

一方で、パンプスやストラップパンプスは、小さすぎても大きすぎてもすぐ足が悲鳴を上げます。前にずれれば爪が当たるし、かかとが緩いと靴擦れしやすいので、「ピッタリに近いけど痛くない」という、かなり微妙なラインを狙う必要があります。ここを感覚だけで選ぶのはなかなかハードルが高い、というのが正直な印象です。

それでも、実店舗であれこれ履き比べていると、自分の好みのサイズ感がなんとなく見えてきます。クッションたっぷりのウォーキングシューズなら少しゆるめが気持ちいいとか、カチッとしたビジネスシューズはかかとがしっかり固定されている方が安心とか、人によって「これがちょうどいい」のラインが違うので、サイズ表だけ見てもそりゃ迷うよな、という感じもあります。

性能：失敗を減らすための「サイズ感」の考え方

ここからは、もう少し実用寄りに、サイズ感をどう考えるかを整理してみます。ざっくり言うと、足そのものと靴の特徴、この二つを落ち着いて観察するだけでも、選び方はだいぶ変わります。

足を測って、ベースとなる「自分の数字」を持っておく

まず、足の長さと幅を一度きちんと測っておくと、ネットでスニーカーやブーツを選ぶときの軸になります。紙を床に置いて裸足で立ち、かかとから一番長い指先まで線を引き、メジャーで測れば大まかな足長がわかります。もう一枚紙を使って、親指の付け根と小指の付け根をぐるっと測れば足囲も確認できます。

このときに役立つ簡単な道具として、足の長さを片足ずつ測りやすい足サイズ測定メジャーを持っておくと、家族でも共有できて便利です。

試し履きするときに見るポイント

お店でも自宅でも、試し履きするときに見ておきたいのは、かかと・つま先・足幅と甲の三つです。

かかとは、歩いたときに浮いたり、擦れたりしないかを中心に見ます。しっかりホールドされているけれど、食い込んで痛いほどではない、くらいがちょうどいいイメージです。ここが緩いと、どんなに中敷きインソールやかかとクッションを入れても、なかなか安定しません。

つま先は、立ったまま指を少し動かしてみて、自由に動かせる程度の余裕があるかどうかをチェックします。余裕がなさすぎると爪が当たって痛みの原因になりますし、逆に余裕がありすぎると、歩くたびに前にずれてしまいます。気になる場合は、微調整用につま先パッドを使う選択肢もあります。

足幅と甲は、紐やベルトを締めたときに「締めつけられている感じ」が強すぎないかを見ます。特にランニングシューズやセーフティシューズのように運動量が多い靴は、ここがきついとすぐに痛みや痺れにつながります。逆に、ゆるい場合は、衝撃吸収インソールを入れてボリュームを足すと、フィット感がだいぶ変わります。

靴の種類ごとのざっくりしたサイズ感のイメージ

種類ごとのざっくりした考え方としては、日常使いのスニーカーやウォーキングシューズは、ほんの少しゆとりのあるサイズ感を好む人が多いようです。クッションが多めなので、指先に窮屈さを感じないことを優先しても、それほど問題になりにくい印象があります。

革靴やビジネスシューズ、ローファーは、かかとがしっかりホールドされているかどうかが大事です。革は履いているうちに少しずつ馴染んでくるので、最初は「キツキツではないけれど、けっこうタイトだな」くらいから始めて、シューズキーパーで形を保ちながら慣らしていく人も多いです。

パンプスやストラップパンプスは、前滑りしやすいので、つま先が詰まりすぎない範囲で、かかとが抜けないサイズ感を狙いたいところです。ヒールが高くなるほど負担が大きくなるので、中敷きインソールやかかとクッション、つま先パッドなどを組み合わせて、自分なりのバランスを探している人も多いです。

登山靴やハイキング用のブーツは、厚手のスニーカー用ソックスや着圧ソックスを履く前提で選ぶことが多いので、普段より少し大きめを選び、紐でしっかり固定しながら履くイメージになります。下りで指が前に当たるとかなり痛いので、つま先の余裕はいつも以上に意識しておきたいところです。

サイズが合わなかったときの「救済アイテム」を知っておく

実際には、どれだけ考えて選んでも「思っていたのと違った…」ということがあります。そんなときのために、調整用のアイテムをいくつか知っておくと、失敗のダメージを減らせます。

全体的にゆるいと感じるときは、厚手の靴下に変えるか、靴の中のボリュームを増やすために中敷きインソールや衝撃吸収インソールを試す方法があります。かかとだけパカパカするならかかとクッション、前にずれて指が当たるならつま先パッドといった具合に、部分的に埋めていく発想です。

それでも厳しい場合は、思い切って別の人に譲るか、履くシーンを限定して使うのも一つの手です。たとえば、通勤はフィット感の高いビジネスシューズで、ちょっとそこまでの買い物には、多少ゆるいスニーカーを使うなど、用途を分けてしまうとストレスが減ります。

結局のところ、「数字＋感覚」の両方を見るのが近道

最終的には、サイズ表の数字だけでも、履いたときの一瞬の感覚だけでも、どちらか片方だけでは決めきれないことが多いです。自分の足の数字を知りつつ、お気に入りのスニーカーや革靴を何足か持っておき、それらを基準に「このブランドのスニーカーは少し細め」「このメーカーのパンプスはワイズ広め」みたいな、自分なりの経験値をゆるく積み上げていくのが現実的です。

ネットで靴を選ぶときも、自分の足の数字、手持ちの靴のサイズ感、レビューの傾向、そして微調整用の中敷きインソールやかかとクッションなどを組み合わせれば、「これは無理だ…」という大外れをある程度減らすことはできます。

「靴サイズ感とは？」という問いに対して、きっちりした正解を出すのは難しいですが、自分の足と向き合いながら、少しずつノウハウを貯めていくと、数字だけを追いかけていた頃よりも、ずっと気楽に靴選びができるようになっていくはずです。