80代になってから筋トレなんて…と、昔の父は完全にあきらめモードでした。
でも今の父は週に2回、自宅のリビングでせっせとトレーニング。最初は半信半疑だった僕も、隣で一緒にやるようになって、筋トレって「若者の趣味」じゃなくて「80代の生活の安心材料」なんだなと実感しています。
ここでは、あくまで素人の息子(僕)が、80代の家族と一緒に試行錯誤してきた自宅筋トレの話を書いていきます。専門家の難しい理屈は抜きで、「このくらいならうちの親でもできたよ」というレベル感で読んでもらえたらうれしいです。
まずは環境づくりからゆるっとスタート
最初にやったのは「トレーニングするスペースづくり」です。
フローリングにそのまま座るとお尻や膝が痛そうだったので、滑りにくいヨガマットを一枚敷きました。これがあるだけで、転んだときの安心感も全然違います。
イスは、肘掛けと背もたれがしっかりした介護用チェアを使っています。立ち座りのときにぐらつかないので、父も怖がらずに動いてくれました。さらに、イスの横には、立ち上がりの補助用に立ち座りサポート手すりを置いています。
膝や腰に不安がある人なら、膝サポーターや腰サポーターもあると安心感アップ。父は膝が少し悪いので、サポーターを巻くだけで「これがあるから大丈夫」という気持ちになるようです。
時間管理はスマホでもいいのですが、父はボタン一つで使えるほうが楽なので、専用のスポーツタイマーをテーブルの上に置いています。30秒計ったり、休憩を1分にしたり、意外とこれが便利です。
下半身トレは「立ち座り」と「踏み台昇降」から
80代の筋トレで一番大事だと感じるのは、やっぱり下半身。立ち座りや歩行がスムーズだと、外出への自信も全然違います。
椅子スクワット
うちで一番よくやっているのが、介護用チェアを使った椅子スクワット。
イスに腰掛けた状態から、立ち座りサポート手すりや肘掛けを軽く持って、ゆっくり立ち上がる→またゆっくり座る、という動きを繰り返します。
慣れてきたら、足首にアンクルウェイトを巻いて重さを少し足すと、同じ回数でもかなり効きます。ただし父の場合、最初から重りをつけると嫌がったので、最初は何もつけずに5回からスタート。今は調子が良い日はアンクルウェイト付きで10回まで増やしています。
踏み台昇降とステッパー
次に取り入れたのが踏み台昇降。最初は低めの昇降台・ステップ台を使いました。高さを10〜15cmくらいにして、手すりや壁につかまりながら、片足ずつゆっくり上り下りしてもらいます。
最近では、父の足がだいぶ慣れてきたので、小型のステッパーも試しています。テレビを見ながら5分だけ、という感じで使うと、息が少し弾むくらいのいい運動になります。
疲れが強いときや足がむくむ日は、運動後に着圧ソックスを履くと、翌日のだるさがちょっと軽くなるようです(これは完全に父と僕の体感ですが)。
上半身は軽いダンベルとチューブでコツコツ
上半身は、重い重量を持ち上げるよりも、軽い負荷で回数を丁寧にこなすほうが、80代には合っていると感じます。
軽量ダンベルで腕の筋トレ
父が一番気に入っているのは、1kg前後の軽量ダンベル(1kg前後)を使った運動です。イスに座って、肘を曲げ伸ばしするだけのシンプルなカールですが、ゆっくり10回やると「けっこう来るな」と言っています。
手首に負担をかけたくないときは、ダンベルの代わりにリストウェイトを手首に巻いて、腕を前に伸ばしたり、横に広げたりする動きも取り入れています。
握力を鍛えるために、空いている時間にはハンドグリップも使っています。テレビを見ながら片手ずつにぎにぎしているだけですが、ペットボトルのフタを開けるのが楽になったと言っていました。
チューブ&バンドトレーニング
個人的に「高齢者と相性がいいな」と思うのが、トレーニングチューブとフィットネスバンドです。
・椅子に座って、チューブを足裏にひっかけて両端を引く
・胸の前でバンドを両手で持って、左右に引き広げる
こんな感じのシンプルな動きでも、肩まわりや背中の筋肉がじんわり温まります。ダンベルよりも重さの調整がしやすいので、父の体調に合わせて「今日は弱めのバンド」「今日は少し強いバンド」と変えています。
グリップ力が弱い人には、手のひらが痛くなりにくいトレーニンググローブを一緒に使うと、滑りにくくて安心です。
体幹とバランスは転倒予防の要
筋トレを始めてから一番うれしかったのは、「ふらつきが減った」と父が言い出したことです。転んで骨折するのが一番怖いので、バランス系のアイテムも積極的に取り入れました。
バランスディスク&バランスクッション
まず買ったのが、空気でふくらませるタイプのバランスディスク。
最初はイスの上に乗せて、その上に座るだけ。お腹や腰まわりが自然とプルプルして、体幹が使われているのが分かります。
慣れてきたら、足元にバランスクッションを置いて、その上に立ってもらいます。ただし、これは必ず机や手すりにつかまりながら、僕がすぐそばで見ているときだけ。油断すると本当に危ないので、ここだけは慎重にしています。
仕上げにフォームローラーでケア
トレーニング後のケアとしては、父の好みでフォームローラーも使っています。ふくらはぎや太ももをゴロゴロ転がすと、「なんか足が軽くなった気がする」とご機嫌なので、リラックスタイムも兼ねた習慣になりました。
休憩しながら続けるコツと、僕なりのルール
僕なりに決めているルールは、
- しんどい日は無理にやらない
- 「あと1回いけそう」でもそこでやめる
- 歩けているうちは合格点、と割り切る
この3つです。
スポーツタイマーで30秒運動→30秒休憩を繰り返す「インターバル方式」にしてからは、父も「休みがあるからがんばれる」と言っています。
座る時間が長くなりがちな日は、ステッパーだけでも踏んでもらうとか、昇降台・ステップ台に足を乗せて軽くストレッチをするだけ、といった「ミニ版メニュー」を用意しておくと、サボり癖がつきにくいです。
食事とプロテインは「プラスα」くらいの感覚で
筋トレと一緒によく話題に出るのがタンパク質。うちでは、基本は普通の食事でしっかり食べることを優先しつつ、どうしても食が細い日だけ高齢者向けプロテイン(栄養補助飲料)を使っています。
水や牛乳に溶かして少しずつ飲んでもらうだけですが、「今日はあまり食べられなかったな」という日の安心材料にはなります。ただ、持病や薬との相性もあるので、これは本当におまけ程度。気になる場合は、お医者さんに一言聞いてからのほうがいいと思います。
僕が感じた「80代筋トレ」の変化
半年ほど、ゆるゆると続けてみて感じる変化はこんなところです。
- 立ち上がるときの「よっこらしょ」が減った
- 外出したあとも、ぐったり寝込む日が減った
- ハンドグリップのおかげか、ビンのフタを自分で開けられる日が増えた
- なにより、本人が「まだ自分で歩けるうちは大丈夫だな」と前向きになった
もちろん、筋トレだけで若い頃に戻ることはありません。でも、トレーニングチューブやフィットネスバンド、軽量ダンベル(1kg前後)、アンクルウェイト、ハンドグリップみたいな小さな道具たちが、80代の「まだやれる」という自信を支えてくれている気がします。
これから80代で筋トレを始める人へ
もしあなたの家族や、これを読んでいる本人が80代で、「今さら筋トレなんて…」と思っているなら、まずはイスに座って足首を曲げ伸ばしするところからで十分だと、僕は感じています。
最初からたくさん道具をそろえる必要はありませんが、1つだけ何か買うなら、個人的にはヨガマットか介護用チェア、もしくはトレーニングチューブあたりがおすすめです。
・安全に動ける足場を作って
・無理のない回数から始めて
・しんどい日は遠慮なく休む
この3つさえ守れれば、80代からの筋トレは十分「趣味」として楽しめると思います。
僕自身も、父と一緒にステッパーを踏みながら、「自分もこの歳まで動けるように、今からコツコツやらないとな」と密かに決意しているところです。
筋トレ80代でも遅くない|ゆるく続ける僕の自宅トレ体験記
80代になってから筋トレなんて…と、昔の父は完全にあきらめモードでした。
でも今の父は週に2回、自宅のリビングでせっせとトレーニング。最初は半信半疑だった僕も、隣で一緒にやるようになって、筋トレって「若者の趣味」じゃなくて「80代の生活の安心材料」なんだなと実感しています。
ここでは、あくまで素人の息子(僕)が、80代の家族と一緒に試行錯誤してきた自宅筋トレの話を書いていきます。専門家の難しい理屈は抜きで、「このくらいならうちの親でもできたよ」というレベル感で読んでもらえたらうれしいです。
まずは環境づくりからゆるっとスタート
最初にやったのは「トレーニングするスペースづくり」です。
フローリングにそのまま座るとお尻や膝が痛そうだったので、滑りにくいヨガマットを一枚敷きました。これがあるだけで、転んだときの安心感も全然違います。
イスは、肘掛けと背もたれがしっかりした介護用チェアを使っています。立ち座りのときにぐらつかないので、父も怖がらずに動いてくれました。さらに、イスの横には、立ち上がりの補助用に立ち座りサポート手すりを置いています。
膝や腰に不安がある人なら、膝サポーターや腰サポーターもあると安心感アップ。父は膝が少し悪いので、サポーターを巻くだけで「これがあるから大丈夫」という気持ちになるようです。
時間管理はスマホでもいいのですが、父はボタン一つで使えるほうが楽なので、専用のスポーツタイマーをテーブルの上に置いています。30秒計ったり、休憩を1分にしたり、意外とこれが便利です。
下半身トレは「立ち座り」と「踏み台昇降」から
80代の筋トレで一番大事だと感じるのは、やっぱり下半身。立ち座りや歩行がスムーズだと、外出への自信も全然違います。
椅子スクワット
うちで一番よくやっているのが、介護用チェアを使った椅子スクワット。
イスに腰掛けた状態から、立ち座りサポート手すりや肘掛けを軽く持って、ゆっくり立ち上がる→またゆっくり座る、という動きを繰り返します。
慣れてきたら、足首にアンクルウェイトを巻いて重さを少し足すと、同じ回数でもかなり効きます。ただし父の場合、最初から重りをつけると嫌がったので、最初は何もつけずに5回からスタート。今は調子が良い日はアンクルウェイト付きで10回まで増やしています。
踏み台昇降とステッパー
次に取り入れたのが踏み台昇降。最初は低めの昇降台・ステップ台を使いました。高さを10〜15cmくらいにして、手すりや壁につかまりながら、片足ずつゆっくり上り下りしてもらいます。
最近では、父の足がだいぶ慣れてきたので、小型のステッパーも試しています。テレビを見ながら5分だけ、という感じで使うと、息が少し弾むくらいのいい運動になります。
疲れが強いときや足がむくむ日は、運動後に着圧ソックスを履くと、翌日のだるさがちょっと軽くなるようです(これは完全に父と僕の体感ですが)。
上半身は軽いダンベルとチューブでコツコツ
上半身は、重い重量を持ち上げるよりも、軽い負荷で回数を丁寧にこなすほうが、80代には合っていると感じます。
軽量ダンベルで腕の筋トレ
父が一番気に入っているのは、1kg前後の軽量ダンベル(1kg前後)を使った運動です。イスに座って、肘を曲げ伸ばしするだけのシンプルなカールですが、ゆっくり10回やると「けっこう来るな」と言っています。
手首に負担をかけたくないときは、ダンベルの代わりにリストウェイトを手首に巻いて、腕を前に伸ばしたり、横に広げたりする動きも取り入れています。
握力を鍛えるために、空いている時間にはハンドグリップも使っています。テレビを見ながら片手ずつにぎにぎしているだけですが、ペットボトルのフタを開けるのが楽になったと言っていました。
チューブ&バンドトレーニング
個人的に「高齢者と相性がいいな」と思うのが、トレーニングチューブとフィットネスバンドです。
・椅子に座って、チューブを足裏にひっかけて両端を引く
・胸の前でバンドを両手で持って、左右に引き広げる
こんな感じのシンプルな動きでも、肩まわりや背中の筋肉がじんわり温まります。ダンベルよりも重さの調整がしやすいので、父の体調に合わせて「今日は弱めのバンド」「今日は少し強いバンド」と変えています。
グリップ力が弱い人には、手のひらが痛くなりにくいトレーニンググローブを一緒に使うと、滑りにくくて安心です。
体幹とバランスは転倒予防の要
筋トレを始めてから一番うれしかったのは、「ふらつきが減った」と父が言い出したことです。転んで骨折するのが一番怖いので、バランス系のアイテムも積極的に取り入れました。
バランスディスク&バランスクッション
まず買ったのが、空気でふくらませるタイプのバランスディスク。
最初はイスの上に乗せて、その上に座るだけ。お腹や腰まわりが自然とプルプルして、体幹が使われているのが分かります。
慣れてきたら、足元にバランスクッションを置いて、その上に立ってもらいます。ただし、これは必ず机や手すりにつかまりながら、僕がすぐそばで見ているときだけ。油断すると本当に危ないので、ここだけは慎重にしています。
仕上げにフォームローラーでケア
トレーニング後のケアとしては、父の好みでフォームローラーも使っています。ふくらはぎや太ももをゴロゴロ転がすと、「なんか足が軽くなった気がする」とご機嫌なので、リラックスタイムも兼ねた習慣になりました。
休憩しながら続けるコツと、僕なりのルール
僕なりに決めているルールは、
- しんどい日は無理にやらない
- 「あと1回いけそう」でもそこでやめる
- 歩けているうちは合格点、と割り切る
この3つです。
スポーツタイマーで30秒運動→30秒休憩を繰り返す「インターバル方式」にしてからは、父も「休みがあるからがんばれる」と言っています。
座る時間が長くなりがちな日は、ステッパーだけでも踏んでもらうとか、昇降台・ステップ台に足を乗せて軽くストレッチをするだけ、といった「ミニ版メニュー」を用意しておくと、サボり癖がつきにくいです。
食事とプロテインは「プラスα」くらいの感覚で
筋トレと一緒によく話題に出るのがタンパク質。うちでは、基本は普通の食事でしっかり食べることを優先しつつ、どうしても食が細い日だけ高齢者向けプロテイン(栄養補助飲料)を使っています。
水や牛乳に溶かして少しずつ飲んでもらうだけですが、「今日はあまり食べられなかったな」という日の安心材料にはなります。ただ、持病や薬との相性もあるので、これは本当におまけ程度。気になる場合は、お医者さんに一言聞いてからのほうがいいと思います。
僕が感じた「80代筋トレ」の変化
半年ほど、ゆるゆると続けてみて感じる変化はこんなところです。
- 立ち上がるときの「よっこらしょ」が減った
- 外出したあとも、ぐったり寝込む日が減った
- ハンドグリップのおかげか、ビンのフタを自分で開けられる日が増えた
- なにより、本人が「まだ自分で歩けるうちは大丈夫だな」と前向きになった
もちろん、筋トレだけで若い頃に戻ることはありません。でも、トレーニングチューブやフィットネスバンド、軽量ダンベル(1kg前後)、アンクルウェイト、ハンドグリップみたいな小さな道具たちが、80代の「まだやれる」という自信を支えてくれている気がします。
これから80代で筋トレを始める人へ
もしあなたの家族や、これを読んでいる本人が80代で、「今さら筋トレなんて…」と思っているなら、まずはイスに座って足首を曲げ伸ばしするところからで十分だと、僕は感じています。
最初からたくさん道具をそろえる必要はありませんが、1つだけ何か買うなら、個人的にはヨガマットか介護用チェア、もしくはトレーニングチューブあたりがおすすめです。
・安全に動ける足場を作って
・無理のない回数から始めて
・しんどい日は遠慮なく休む
この3つさえ守れれば、80代からの筋トレは十分「趣味」として楽しめると思います。
僕自身も、父と一緒にステッパーを踏みながら、「自分もこの歳まで動けるように、今からコツコツやらないとな」と密かに決意しているところです。

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